【熊本】山鹿 日帰り街歩き〜さくら湯・大宮神社・チブサン古墳・八千代座

2018.02.22

山鹿(やまが)に行ってきました。

山鹿市は熊本県北部の市で、灯篭まつりや山鹿温泉、国の重要文化財である明治時代の芝居小屋「八千代座」などで知られる情趣あふれる街です。

今回の本来の目的は、2017年8月27日に山鹿の「天聴の蔵」にて行われた「New Zion Trio with Cyro」の来日公演を観ること。せっかく山鹿まで行くので、早めに行ってついでに観光もしよう、という計画です。

筆者の住む熊本市内から山鹿までは車で約1時間。ライブなのできっとビールを飲みたくなるだろうということで、本当は公共交通機関で行きたかったのですが、JRは通っておらず、バスも帰りの最終が早くて使えない……仕方ないのでビールは諦めて、はるばるスクーターで向かうことにしました。

ルートは単純、熊本市内からひたすら国道3号線を北に直進すれば山鹿に着くので、迷う心配はありません。
アジア感あふれる山と工場と農地の中を走る長い一本道を抜けて、菊池川に架かる山鹿大橋を渡ると、山鹿の市街地に到着。温泉地特有の昭和の香りが残る風景が広がります。

さっそく名所を巡っていきましょう。

山鹿灯籠の起源~大宮神社

大宮神社
大宮神社

まずは山鹿灯篭まつりの拠点である大宮神社へ。
駐車場も広くて立派な神社ですが、さすがにこの真夏の炎天下にやって来る人は少ないようで、境内は無人でした。

灯篭まつりの撮影ボード
灯篭まつりで有名です

神社に観光案内の看板があったので見てみると、近くに古墳があるとのことで、行ってみることに。

スイカ畑を抜けて…灼熱の古墳めぐり

山鹿は古墳が多く残る地域としても知られているそうで、市内各所に古墳が点在しています。
これから向かう「チブサン古墳」と「オブサン古墳」は「肥後古代の森(山鹿地区)」という公園内にある模様。案内板を頼りに無事公園入口に到着し、駐車場にスクーターを停めて歩きます。

まず見えてくるのが山鹿市立博物館。
白い三角形の建物で、やはりどこか昭和な佇まい。静かです。

山鹿市立博物館
山鹿市立博物館

入り口前に「古代の森→」という案内板があったので、博物館には入らずに森へと続く小道を進んでいくと、なるほど、古代の石版などを再現したものが道沿いに展示してあります……が、とにかく虫が凄い! とてもゆっくり眺める余裕はなく、急ぎ足で森を抜けて、古墳を目指します。

しかし、森を抜けるとそこは広々としたスイカ畑。古墳はどこに……? 何の案内板も見つからず、仕方ないのでさっき見た地図の記憶を頼りに古墳があると思われる方向へとりあえず歩く……。

どこまで歩いても何の手掛かりもなく、さすがに引き返したほうがいいのではないかと不安になりながらも進んで行くと、ようやく前方にそれらしきものが見えてきました。

彼方に古墳が見える
彼方に古墳が見える…

これがまた……どう見ても遠い……。まだ歩くのか……焼けるような炎天下、あたりは干からびて色褪せたスイカがゴロゴロと転がる地獄の景色……。

死を覚悟しながらようやくたどり着いたのが「オブサン古墳」。

オブサン古墳
オブサン古墳

これはすごい! 丸く盛られた小山に石で組まれた入り口があるではありませんか!

……と驚くようなことはなく、まさにそれだけなのですが、とりあえず古墳に来たという体験は得られました。

それよりなにより、古墳までたどり着けば周りに自動販売機くらいあるだろうと、うっすら期待していたのですが、どこにもないですね。暑い暑い。

続いてもう一つの「チブサン古墳」を探しに。
地図で見た記憶では、オブサン古墳よりも手前にあったはずですが、どこにもそれらしき案内板はなかったぞ……と思いながらも来た道を戻ると、もしかしてこれは……?

謎の無地の板
謎の無地の金属板を発見…

草木に覆われた裏側を見ると……正解! こんなの気づきませんが!

チブサン古墳の案内板
チブサン古墳の案内板。表は完全に色あせてます。

畑の横の細い道を抜けると、広々とした芝生が広がっており……ありました「チブサン古墳」!

チブサン古墳
チブサン古墳

丸く盛られた小山なのはさっきと同じですが、チブサン古墳は石室の壁に描かれた絵が有名な装飾古墳とのことで、期待しながらいざ古墳の入り口へ!

するとそこには衝撃の看板が!

チブサン古墳の見学についての説明
博物館へお申込み下さい…1日2回です…

なんということでしょう。

こういうことは一番最初に書いておいていただきたいですが、まあよく考えたら当然です。常時開放してたら荒らしたり住み着いたり(笑)する人がいるかもしれませんからね。

予習せずに思い付きだけで来るとこういうことになります。これから行かれる方はくれぐれもお気をつけて!

ぐったりして帰ろうと振り返ると、発掘物を展示してある広場のようなエリアがあり、そこに石室の壁画を再現したものが展示してありました。

チブサン古墳の壁画の模型
実物が見たい…

いかにも「模造品」という感じです。ここで力尽きてパトラッシュする勢い。

それにしても、古墳時代にしてこの赤と白と黒のおしゃれな幾何学模様とは、まさに時代を超越したクールジャパンという感じで夢があります。

再び灼熱のスイカ畑を歩きに歩き、ようやく古代の森の駐車場へと戻って来ましたが、ここにも自販機などは何もなかったのでした。
限界は近い……速やかに移動!

後日この記事を書くためにGoogleマップで歩いた経路を調べていたら、普通に車でスイカ畑の農道を通ってオブサン古墳のところまで行ける(すぐ裏に駐車場もある)ということが判明。何事も予習は大事です。

山鹿温泉「さくら湯」は明治時代の香り

なんとか生きて市街地へと戻り、コンビニで水分とガリガリ君を補給して、目指すは山鹿温泉です。
「さくら湯」という明治時代の雰囲気を残したお店が有名とのことで、そこへ行ってみることに。

路上の案内図もわかりやすく(古墳とは大違い)、すぐにたどり着くことができました。
歴史香る外観! 素晴らし!

さくら湯
さくら湯

入って左側に券売機があり、入浴券とタオル、シャンプーを購入。
入浴料は大人300円という驚きの安さ!

完全に明治時代の造りを再現しているとのことで、中は洗い場と広い浴槽が一つあるのみ。泡風呂や露天風呂やサウナなどは一切ありません。
脱衣所から階段を降りていき、地下に温泉があるような作りになっています。

時間帯が良かったのか、日曜日なのにお客は少なく、自分含めて4人ほど。静かでゆっくりできました。

山鹿の温泉は独特のとろみのある柔らかい湯が特徴です。

さくら湯のすぐ隣には、湯の守り神を祀った「薬師堂」という小さな御堂があります。
その昔、山鹿の温泉が枯れてしまった時に復活を祈願して建てられたものだそう。

薬師堂
薬師堂

温泉プラザ山鹿は昭和の香り

食を求めて歩きます。

昔来た時の記憶で、八千代座へと向かう坂道沿いにいろんな店が並んで賑わってたようなイメージがあったのですが、どうやら記憶違いのよう。喫茶店が2、3軒あるくらいで、とにかく静かです。

ということで、一旦さくら湯のところまで戻り、隣にある「温泉プラザ山鹿」に入ってみることに。
昭和のローカルな百貨店といった雰囲気の建物ですが、中はシャッターが降りている店が多く、少々寂しい雰囲気。

温泉プラザ山鹿
温泉プラザ山鹿

1階が物産館と食堂街になっており、そこはそれなりに賑わっていて一安心です(閉まっている店も多いですが)。
華北飯店という中華屋さんに入り、高菜炒飯を注文。

華北飯店の高菜炒飯
華北飯店の高菜炒飯

味も雰囲気も昔ながらの大衆食堂という感じで落ち着きます。
あとで調べたところ、唐揚げが美味しくて人気とのこと。予習しておけば……!

温泉プラザ1階にはこんな空間も。ノスタルジアの極み。

まんがひろば
哀愁の「まんがひろば」

1975年(昭和50年)に開業した「温泉プラザ山鹿」ですが、オープン当時は「さくら湯」が温泉プラザのビル内にあったのだそうです(だから「温泉プラザ」なんですね)。
もともと明治時代から改修を重ねて残っていた「さくら湯」の建物が、1973年(昭和48年)に取り壊され、1975年以降、温泉プラザ内にて営業(2009年まで)。その後、2012年に往時の姿を再現した現在の「さくら湯」が完成し、再オープンしたという経緯があるそう。
それを知った上であらためて「温泉プラザ」と「さくら湯」を巡ると、より深い味わいが感じられることでしょう。

参考:歴史 | 山鹿ガイド

豊前街道を行く~山鹿灯篭民芸館・金剛乗寺

山鹿温泉あし湯
山鹿温泉あし湯

再び外へ出て、さくら湯から道を渡って向かい側の、八千代座へと向かう坂道を登ります。
この通りが江戸時代から山鹿のメインストリートとして栄えてきたという「豊前街道」。昔ながらの面影を残した建物が多数建ち並ぶ、レトロな雰囲気満点の坂道です。

坂に入る手前の公園には山鹿温泉の「あし湯」(無料で利用できます)がありますが、人が多かったので今回はスルー。

坂に入ってすぐ左手には、大正ロマン的な西洋風の建物が。これは「山鹿灯篭民芸館」。もともとは銀行として使われていた建物で、大正14年に建てられたものだそう。

山鹿灯篭民芸館
山鹿灯篭民芸館

そこから少し坂を上がると、左手に謎の円い石門が目に入ります。1804年に造られたという「金剛乗寺」の石門です。
門の上部にはサンスクリット語の文字(梵字)が彫られており、独特のエキゾ感。縁結びのパワースポットらしいですよ。

金剛乗寺の石門
金剛乗寺の石門

車がぎりぎり1台通れるくらいの幅なので意外にコンパクトですが、なんともいえない迫力があります。

さらに進むと、いい感じに昭和なレストランも。

グルメ倶楽部
ちょっと贅沢(リッチ)なレストラン「グルメ倶楽部」

山鹿といえばやっぱり「八千代座」

坂の上まで歩いて右に曲がると、かの有名な国の指定重要文化財「八千代座」です。明治時代に建てられた芝居小屋で、現在も舞台やコンサートに利用されています。

八千代座
八千代座

全然人がいなくて静かなので、非日常感が凄い。

そして夕暮れも近づいて来ました。

「天聽の蔵」で音の波に揺られ

今回の主目的であるライブが行われる「天聽の蔵(てんちょうのくら)」は、さっきまで歩いてきた豊前街道をそのまま直進すればすぐにたどり着けます。

天聽の蔵
天聽の蔵

天聽の蔵もまた、長い歴史を感じさせる建物です。
もともとは江戸時代に創業された酒造場で、その酒蔵(蔵は明治時代に建てられたものだそう)が現在はイベントスペースとして活用されています。
「天聽」とはそこで造られていた酒の銘柄とのこと。

通りに面した表の建物はカフェになっており、店内奥から中庭を抜けたところに「蔵」があります。
この日は中庭でフードや雑貨のマルシェが行われており、開演前から賑わっていました。

New Zion Trio with Cyro のライブについては、別途ライブレポートを書いていますので、興味がある方はぜひ合わせてご覧ください。ジャズとレゲエとブラジリアンパーカッションが融合した唯一無二のサウンドです。

ライブは素晴らしく心地良く、楽しい時間を過ごして充電完了。そろそろ帰る時間です。

早く帰ってビールが飲みたい! と思いましたが、なんだか名残惜しく、帰りにもう一度さくら湯へ。
夜のさくら湯も最高です。

夜のさくら湯
夜のさくら湯

それにしても300円ってお得。近所に欲しい。

頭の中でレゲエのベースラインをエンドレスループさせながら帰りました。

旅のまとめ

以上、山鹿のプチ観光レポートでした。

熊本市内からは車で約1時間。3号線をただひたすら北に直進すれば着きます(本当に)。
バスは熊本交通センターから出ており、「温泉プラザ前」で降りれば、今回レポートしたエリア(古墳以外)は徒歩でも回れると思います。

県外からJRで来られる場合は、熊本駅から交通センターに移動して上記のバスに乗るか、もしくは玉名駅(玉名は山鹿の隣の市)からもバスが出ています。
ただしバスは最終が早いので、帰りの時間に注意が必要です。

レトロで静かな街並みが好きな方におすすめの山鹿。いかにも「観光地」的な派手さも無く、温泉に入ってゆっくりと歴史の香りを楽しむことができるでしょう。

Saravah!

Travel熊本

2017/11/14 (更新:2018/02/22)

書いた人:

一人旅ときどきギターと太鼓。年々増していく時の流れの速さと記憶力の低下に危機を感じ、いろいろなことを記録しておくために書き始めました。元CDショップ店員。現在はIT系のエンジニア。寒さに弱すぎるため旅行先は基本的に南の島です。釣りたい魚はアカジンミーバイ。

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