与那国島に行ってきました ~ 日本最西端の島をレンタルバイクでめぐる
2023.05.02
日本最西端の島、与那国島に行ってきました。
石垣島から飛行機に乗って30分。沖縄の他のどの島とも違う景色と空気と海の青さ!
原付でも十分回れる広さで、一泊だけでしたが本当に素晴らしく楽しい旅でした。
それほど観光地化もされておらず人もお店も少ないため、静かで時間の流れもゆっくり。航空券の確保やスケジュール決め、夕食のお店探しなど、何かと苦労することも多かったですが、それらも含めて学びと感動だらけの体験。
記憶が薄れぬうちに記録を残しておきます。
Contents
飛行機の予約はお早めに! RACは座席が少ない
今回かなり急ごしらえのスケジュールだったため、まず飛行機の確保で一苦労。
現在、与那国島へ行く方法は、①石垣島から飛行機、②石垣島からフェリー、③那覇から飛行機の3つがあります。
しかし調べてみると②のフェリーはちょうどドック入り期間のため運休中。③の那覇からの飛行機は1日1便のみで、しかも朝8時発のため那覇に前日入りが必須。
フェリーよなくに
というわけで、1日3便ある①石垣島からの飛行機で行くことにしたわけですが……。
与那国島行きの飛行機は琉球エアーコミューター(RAC)の小さなプロペラ機で、想像以上に座席が少ない(定員50人)! 予約しようと検索してみると、3週間前の時点ですでにいくつかの便が満席になっているではありませんか(ちなみに平日の便)。
DHC-8-Q400CC | 琉球エアーコミューター
理想は朝か昼の便で与那国島に渡って、次の日の最終か2日後の朝の便で石垣に戻るプランでしたが、休みを前後にずらしても取れず。やむなく石垣17:30発の最終便で与那国に渡り、次の日の最終で帰るという、滞在24時間の弾丸スケジュールとなりました。
そしてこの最終便で向かった場合、与那国島到着は18時。与那国島のレンタルバイク屋さんの営業時間は……18時まで! 間に合わない!
当初は「到着してすぐに原付借りて最西端に向かえば日本で一番最後に沈む夕日が見られるのではないか」などと期待していたのですが、無理~
(結果的に飛行機の出発が20分以上遅れた上に、到着した日は曇りだったのでそもそも見えなかったのですが……)
予定を立てる際は、先に飛行機の空席状況を確認してからをおすすめします。
JAL国内線−航空券 予約・空席照会・運賃案内−
与那国島に到着!
新石垣空港で福岡からの友人と合流して、いざ搭乗。出発は遅れたものの、飛行時間はあっという間。約30分で与那国空港に到着です。
雲が多い上に逆光でしたが、着陸直前には与那国島の海を眼下に見ることができます(左窓側の席だと島全体がしっかり見えて良さげ。自分は右側でした)。
離島らしい、小さくも貫禄のある空港ビル。
今回の宿は空港からもっとも近い集落、祖納(そない)にある民宿「さきはら荘」。スタッフさんの送迎で宿へと向かいます。南国感あふれる建物で、景色も良い2階の快適な和室でした。完全に最高です。
食事の予約もお早めに! 与那国島は飲食店が少ない
旅先ではその土地ならではのお店に食べに行くのも重要な楽しみの一つなので、今回も夕食なしの民宿を予約しました。
電話予約の際に宿の人に言われたのが「与那国は飲食店が本当に少ないので、早めにお店を予約しておいたほうがいいですよ」と。
なるほど、ということで、宿の近くでおすすめの店をいくつか教えてもらったのですが……。
泊まるのは平日なのでまあ大丈夫だろう、などと思ってたら甘かった! 数日前になって電話してみると、貸切りになってたり、予約いっぱいだったり、本当に取れない! Googleマップで他にも調べてみるも、電話がつながらなかったり、定休日だったり、すでに閉業してたり……。
だから観光客は夕食付きの民宿を利用するのが定番なわけですね。
与那国の宿 宿泊施設「アイランドホテル与那国」
(追記)……と思ってたらコロナで休業になってしまいました。再開できますように。
ようやく、「予約は受け付けてないけど早めの時間に来れば入れると思うから覗いてみて」というお店があり、そこに望みを託して向かったのでした。
到着して宿にチェックインして一息ついてすぐに向かったところ、無事に入ることができました。夕日を見に行ってたら無理だったかもしれませんね……世界はうまくできています。
与那国名物カジキの刺身
与那国島の特産品といえばカジキ! 刺身でいただきました。至福。
その他、衝撃の具無しソーメンチャンプルー(これが意外な旨さ)、山羊汁などなど、どれも美味かった。
大将いわく「ここは趣味でやってる店! お客さん増え過ぎると自分たちがゆっくり飲めなくなるからパンフレットにも載せてない(笑)」とのことなので、店名は伏せておきます。楽しくゆっくり長々と、初日の夜を過ごせました。
眩しい与那国の朝
夜が明けると、外はすっかり晴れて完璧な夏空!
朝食は宿の食堂スペースで、他の宿泊客の人たちと一緒にいただきます。
幸せな島の日常……という感じの家庭料理でした。感謝。
準備をして出かける前に、女将さんが島のおすすめスポットなどもいろいろ教えてくれました。
壁に貼られた地図にも見どころ紹介の手書きコメントが満載でとても参考になります。
レンタルバイクを借りて、いざ出発
レンタルバイクは「与那国ホンダ」さんを利用しました。
ネットでの予約が可能です。
宿のすぐ近くだったので歩いて向かいましたが、空港からの場合は送迎もしてもらえます。
おすすめスポットやお店を教えてもらい、ロードマップとサービスのミネラルウォーターをいただいて、いざ島一周の旅へ!
与那国島での移動手段について
与那国島は外周約27.5kmの小さな島なので、50ccの原付で十分回れます。自転車でも不可能ではないですが、かなり起伏があって山もあるので、体力に自信がない場合は非推奨。
観光の定番はやっぱりレンタカー移動だそうですが、こちらもレンタルバイク同様、店も台数も決して多くはなさそうなので確認・予約はお早めに。
路線バスもありますが、観光スポットの多くはルートから外れています。タクシーは島内に1台しかない(!)らしいので、こちらも要注意です。
ティンダバナから祖納集落とナンタ浜を眺める
時刻は午前9時。すでに猛暑。
最初に向かったのは、祖納集落の隣に異様な存在感でたたずむ巨大な岩山、ティンダバナ(ティンダハナタ)。
駐車場のある場所まで坂道を原付で登って、そこから遊歩道を歩いて展望台へと向かいます。写真で見ると、岩壁に横向きに切れ込みが入ったような部分がありますが、そこを歩いて進んでいきます。駐車場まではかなりの急坂ですが、遊歩道は起伏もゆるやかで柵などもしっかり整備されているので、登山とか苦手な人でも気軽に行けるはず。
5分ほど歩くと視界が開けて圧倒的な景観が広がります。標高は約85メートル。
祖納の集落全体が一望でき、その向こうには水色に輝くビーチ、ナンタ浜。
その昔、15世紀末に与那国島を統治していた伝説的な女酋長サンアイ・イソバがここティンダバナに住んでいたらしいです。
歴史が香る絶景スポットでした。
景色を堪能したらティンダバナを下りてナンタ浜へ。漢字で書くと「波多浜」ですが、穏やかで静かで美しいビーチ。
これまでどこでも見たことがないような透明感。
隣の祖納港もあまりにも美しい。
四畳半ビーチと六畳ビーチ
ナンタ浜から道を東へと進んでいくと、ここにも美しいビーチが潜んでいます。
墓地を抜ける道沿いに突然現れる小さな四畳半ビーチ。
そしてさらに坂道を登って進んでいくと、宿の女将さんに「与那国で海を見るならここが一番きれい」と教えてもらった六畳ビーチがあります。
「もし泳ぐなら軍手があったほうがいい」と言われて、どういうことかと思ったら、ビーチがあるのは約30メートルの崖の下! 一応下に降りていく道らしきものはあるものの、ほぼ岩壁……みたいな状態で、高所恐怖症にはまあ無理な感じだったので、上から眺めるだけにとどめました。
島の東端、東崎(あがりざき)
風力発電の風車と灯台を目指して進んでいくとたどり着くのが、与那国島の東端、東崎(あがりざき)。
岬全体が牧場になっていて、固有種である馬「ヨナグニウマ」たちが自由に遊び回っています。
牧場の緑と、灯台の白と、そして周り一面の海の青。目に鮮やかな絶景が楽しめる場所。
周辺の道には馬たちが牧場の外に出ていかないようにするための工夫である「テキサスゲート」と呼ばれる溝があります。
原付で通るときは車輪がはまらないように要注意。
軍艦岩と立神岩
東崎から島の南側へと進んでいくと、今度は「岩」が見どころのエリアです。
サンニヌダイという岩場の上にある展望所から見下ろす「軍艦岩」は、その名のとおりの大迫力。
以前は遊歩道で海の方まで降りていけたそうですが、崖の崩落の恐れがあるとのことで現在は立入禁止になっていました。
そこから少し進んだところにあるのが、観光パンフレットの表紙などでも与那国島を象徴する風景としてよく使われている「立神岩(たちがみいわ)」。
天を指す巨大な矢印のような岩が青い海に立っているというインパクト。圧倒的な神々しさです。
高さは25メートルほどあるらしく、下から見るとまた迫力が凄いのでしょうね。
さらに道を少し進んだあたりに「人面岩」というのがあるということで行ってみようとしたのですが、入り口以降は案内看板のようなものも無く、けもの道のような山道を歩けど歩けど見つからず……これ以上歩くと熱中症の危機……という雰囲気になってきたので断念しました。
もう少し涼しい時期に再チャレンジしたい……。
比川集落で与那国そばと「Dr.コトー診療所」
原付の良いところは、真夏の炎天下でも走ってる間は風を浴びるので涼しいこと。しかも与那国の壮大な自然に囲まれて走る! 爽快でしかありません。
島の南側の比川(ひがわ)集落に到着し、ここで昼食。レンタルバイク屋さんにおすすめされた沖縄そばの店「わかなそば」に行ってみました。
まるで豚骨ラーメンのようなしっかり味の効いたスープに薄切りの豚肉がどっさり乗って、疲れた体に最高にしみる美味さ。沖縄そばも地域やお店によって本当に様々で面白いですね。
南国感あふれる屋外テーブルもあったりして、お店の雰囲気も最高でした。
そこからすぐ近くの海辺に出たところに、ドラマ「Dr.コトー診療所」の撮影で使われた建物があります。
入場料300円で中を見学することができます。診療所の日常が本当に存在しているような、ここだけ時間が止まっているかのような空間で、ドラマを見たことが無くても不思議な感動がありました(……そして帰ってきてから早速ドラマを観始めました)。
建物の前に広がるのは比川浜。穏やかで美しいビーチです。
ちょうど建物の管理をしている方が来られてて、面白い話もいろいろと聞くことができました。
日本最西端~西崎(いりざき)とトゥイシ
比川集落を出てしばらく海沿いの道(景色も最高!)を走っていくと、いよいよ与那国島の西端=日本の最西端である西崎(いりざき)が見えてきます。
この辺り一帯も牧場で、道路を馬たちが普通に歩いているのも面白い。宿のスタッフさんによると、東崎にいる小柄なヨナグニウマとは違って、こっちにいるのはもう少し体型の大きな一般的な日本の馬だそうです。
テキサスゲートを越えて、灯台へと続く道を進み、駐車場から小道を歩いて登っていくと……ついに現れる「日本最西端の碑」!
またそこから柵越しに海を見下ろすと、2019年6月に新たに日本の本当の最西端として地図に記載されることになった岩場「トゥイシ」が見えます。
思えば今回の旅のきっかけは、そのトゥイシのニュースを見て「いつか与那国島にも行ってみないと……」などとツイートしていたら、福岡の友人が「自分も行きたい」と言い出したことで、それならモチベ高まってるうちに勢いで行ってしまおう、ということで予定を組んだのでした。
新たな最西端、自分の目で見ることができて大満足。
久部良集落~ナーマ浜とクブラバリ
西崎から島の北側へと下っていくと、フェリーが到着する港がある久部良(くぶら)集落です。
その手前に広がるビーチ、ナーマ浜。
太陽の光を反射してキラキラと眩しい透明な海でした。西崎の灯台が遠くに見えるのも絵になります。
久部良の集落は古き良き漁村といった雰囲気。「日本最西端の店」があったのでさんぴん茶とスイカバーを買って、港で休憩。
一息ついたら再出発。集落から北の海岸側へと坂を登って進んで行くと、「クブラバリ(久部良割)」と呼ばれる巨大な岩の割れ目があります。
その昔、人頭税の取り立てが厳しかった時代に島の人口を減らすため、妊婦をここから跳ばせたという悲しい伝説が残る場所。
不思議な静けさが怖いくらい……。合掌。
ダンヌ浜の「映える」公衆トイレ
島の北側の道を進み、空港方面へと向かう途中にもう一つビーチがあります。
「月桃の里」という老人ホームの前の細い道を海側へと下っていくとたどり着けるダンヌ浜。
こじんまりとした美しいビーチですが、見どころはなんといっても公衆トイレ(!)。
綺麗な円形の通路の向こう側に青い海と砂浜が見えるという、なんとも気の利いた造りになっているため、インスタ映え公衆トイレとして有名らしい(笑)。
時間的に逆光気味で雲も多かったため海の青さがいまいちですが、午前中だときっと綺麗な写真が撮れるはず。
馬鼻崎、牧場の果ての絶景岬
与那国空港のすぐ手前の道を入っていくと、ここにもまた馬たちが集う北牧場。
その牧場の中を車輪の跡に沿って海の方までひたすら進んでいった先が「馬鼻崎(うまばなざき)」。
レンタルバイク屋さんに「車だとかなり危ないので慣れてる人以外は行かないほうがいい。原付でゆっくり行けばなんとか」と言われましたが、なるほど確かに完全に牧場の中なので、でこぼこ、窪み、出っ張りだらけ。しかも馬や牛がそこら辺で自由に草を食べている……。
どうにかこうにか海沿いまでたどり着きましたが、実際はもう少し先のほうまで行けたようです。ともかく、断崖絶壁!
下を見ると、吸い込まれそうな深い青。かなり怖い。でも美しい。
泳いでいるウミガメが見えることもあるそうです。
旅果報
帰りの時間が迫ってきたので、祖納集落へと戻ります。
荷物を置かせてもらっていたので一度宿に立ち寄り、お礼と挨拶を。おかげで楽しく快適に、思い出に残る旅ができました。
そして与那国ホンダさんに原付を返却。お店の目の前がガソリンスタンドなので便利です。
帰りは空港まで送迎してもらいました。
小さな空港なので、飛行機の出発直前になるまでは保安検査場も開いていません。それまでターミナル内にいくつかあるお土産屋で、長命草のお茶、黒糖、泡盛ゼリーなどを購入。
もう少し時間があったので、空港内のレストラン「旅果報(たびがふう)」にてゴーヤースライスとオリオンビールで打ち上げ。
窓辺に座ると滑走路が見渡せて、空港好きならきっと楽しめます(西日が眩しかったですが)。
無事に搭乗手続きを済ませ、さらば与那国。帰りは窓側席が取れなかったので、ただただ余韻に浸るのみ(右の窓側なら飛び立つときに祖納集落や東崎が見えるので、旅の思い出を振り返りつつエモくなれることでしょう……)。
旅のまとめ
与那国島1泊2日、想像していたよりもずっと多くの発見があり、感動があり、面白さがあり、やっぱり1泊では足りない! という気分になってしまう旅でした。また行こう。
これから行く人に伝えられることとしては、準備はお早めに……これに尽きるでしょうか。
飛行機(orフェリー)、宿、朝食、夕食、島内の移動手段、以上を確保しておけば安心です。昼食は現地でもなんとかなるはず。
レンタルバイクで回る場合の注意点としては、飲み物の準備と日焼け対策。商店も自販機も集落を離れると全く無くなるので、暑い日には特に要注意です。
車の通りはものすごく少ないので快適に走れますが、代わりに馬の集団が歩いてたりしますので、くれぐれも安全運転で。
おわりに
思えば5月に八丈島に行った際、訪れた居酒屋の店員さんが離島旅好きな人で「与那国島はなんとなく雰囲気が八丈島にも似てて良いところですよ」と言ってたのを聞いて、与那国島に行きたいと思うようになったのでした。
確かに「絶海の孤島」的なロケーションに、起伏が多いダイナミックな地形と絶景の大自然、深い青色の海など、共通する魅力が多くあります。
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その後6月にトゥイシのニュースをきっかけに計画を立てて、7月に訪問……という、我ながら良いスピード感で実現することができました。
ところで、与那国島から石垣島に戻った次の日は、日本最南端の有人島である波照間島に行ってきたのですが、それはそれは船が揺れて大変で……。そういえば前に西表島に行ったときも、めちゃくちゃ揺れが凄くて……。
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こうして考えると、石垣島から行ける離島のほとんどは船で行くしかない中、距離的には一番遠い与那国島だけは飛行機で行けるので、実はイメージよりもずっと気軽に行ける島なのではないかと思ったり。船に比べると欠航も少ないですし。
まあ飛行機のチケットが取れればの話ですが……。なのでやっぱり、準備はお早めに。
というわけで、与那国島おすすめです。
どちら様も良い旅を。