波照間島に行ってきました ~ 日本最南端の天国すぎるビーチをレンタルバイクでめぐる
2019.11.06
日本最南端の有人島・波照間島(はてるまじま)に行ってきました。
小さな島なので、今回もレンタルバイクで原付を借りて、島をぐるっと一周。天国のような白い砂浜と青い海、のどかで静かな島の空気。すべてが素晴らしい。
しかしそこにたどり着くためには、想像を絶する荒波を乗り越えていかねばならなかった……と、ちょっと大げさに書きましたが、ともかくいろいろありましたので、記憶が薄れないうちに書き記しておきます。
Contents
波照間島について
波照間島は、沖縄県の石垣島を中心とした八重山諸島に属する面積12.73平方キロメートルの有人島。
民間人が普通に訪れることのできる場所としては日本の最南端の島であり、南十字星が観測できることでも知られています。
「はてるま」という名前は「果てのうるま」(うるま=サンゴ礁)という言葉に由来するもので、「波照間」は当て字とのことですが、波が照る間……見事に島の特徴をあらわした完璧なネーミングですね。
昔からの発音だと「はてぃろーま」になるらしいです。南国らしい甘い響き。
波照間島へ行く方法
波照間島へ行くためには、2019年の現時点では石垣島からの船を利用するしかありません。
1日4便(秋~冬季は3便)の定期高速船と、週3便の貨客カーフェリーがあり、観光客は基本的に定期高速船を利用することになります。
石垣島 ⇔ 波照間島 | 時刻表・料金 | 安栄観光
しかーし! この定期高速船がとにかく欠航する率が高い!
石垣島から波照間島までの航路は外海を通るため波が高くなりやすく、少しでも風が強い日など、すぐ欠航してしまうのです。
貨客カーフェリー | 時刻表・料金 | 安栄観光
2017年の秋に揺れに強い大型の高速船「ぱいじま2」が就航したことで、多少は欠航率も改善されたそうですが、小型高速船のほうは現在も容赦なく欠航することが多いようです。
実際、昨年の秋に石垣を訪れたときに、当初は波照間島にも行きたいなと思っていたのですが、そのときは見事に全便欠航で行けなかったのでした。
今回も果たしてどうなることかと思って迎えた当日、目覚めてすぐに運行状況のページを確認すると「8:00 石垣発 通常運行」の文字! ついに行ける!
運航状況一覧 | 安栄観光
というわけで、朝から石垣港離島ターミナルへと向かいました。
天気が良くても油断は禁物……悪夢の大航海
7月中旬の土曜日ということで、乗船券の販売窓口は朝から大行列。
窓口の人によると「第2便と第3便は欠航になる可能性がありますが大丈夫ですか?」―――まじか。これが波照間航路の怖さ……!
まあでも最終の第4便は今のところ通常運航予定とのことなので、戻って来れなくなることはないはず……。
無事に往復のチケットを手に入れて、売店でおにぎりや島ぞうりなどを買って、出発時刻を待ちます。
いよいよ乗船。噂の大型高速船「ぱいじま2」に乗り込みました。
ゆったりとした綺麗な船内。中央列の前のほうの座席を確保し、いざ出発!
天気も完璧な真夏の青空で、これは優雅な船旅になるに違いない……などと思いながらくつろいでいたのですが……
出発して20分ほど過ぎた頃からでしょうか、船の揺れが少しずつ大きくなってきました。
去年高速船で西表島に行った時にもものすごく揺れた記憶がありますが、その時はガタンガタンと飛び跳ねるような揺れ方で、疲れはするものの気分が悪くなるようなことは全くありませんでした。しかし今回の揺れは……質が違う!
揺れるというより、大きくうねるという感じで、次第に体の感覚が乱されていくような……ああーこれが船酔いかー……
そんなわけで、途中から本当に二日酔いした日のような手足のだるさを覚えて、ただただ「早く着いてくれ……」と願いながら座席に沈んでいた記憶しかありません。初めての体験。
同行した友人も完全にダウンしてトイレに向かったきり消息不明に……
後で調べたら、船は前の座席のほうが揺れが激しいらしい……予習は大事ですね。
長い長い90分間の船旅を終えて、ようやく波照間港に到着です。
外に出ると、照りつける太陽! そして、海の色があまりにも眩しい……!
船酔い効果も相まって、白昼夢を見ているかのような気分になりながら港の待合所まで歩き、しばし休憩。
乗船チケット販売所をふと見ると、この時点で第2・3便の欠航が発表されていました。
レンタルバイクを借りる
波照間港から歩いてすぐのところに「オーシャンズ」というレンタカー屋さんがあり、そこで原付と自転車のレンタルも行っています。
特に予約もしておらず直接向かいましたが、無事に原付を借りることができました。
波照間島は外周が14.8kmの小さな島なので、自転車で周ることもできます。ただし坂道も多いため、体力に自信がない場合は要注意。
集落内にもいくつか原付と自転車のレンタルショップがあり、予約をしていれば港まで送迎に来てくれるところがほとんどのようです。また、宿泊する場合は宿で貸し出しを行っていることも多いので事前に確認しておくとよいでしょう。
とりあえずニシ浜
波照間島に来たなら、とりあえずニシ浜です。問答無用の最強ビーチです。
位置的には港のすぐ隣に広がるビーチですが、入り口は少し離れており、港から一度坂道を登って別方向へと下ってゆく……この下り坂が最初の感動ポイント!
道の向こうに見えてくる眩しい水色……!
そして入り口前の下りカーブで本気の大感動。目の前に広がる波照間ブルー!
これこそ探し求めていたものだ……これを見るためにやって来たのだ……目的は達した……みたいな気分になります。
ああ素晴らしい。今すぐ飛び込みたい。
しかしまだ一日は始まったばかり。飛び込む前に、波照間島の他の名所もめぐっていきましょう。
「パーラーみんぴか」でカキ氷
まずは、ようやく船酔いも落ち着いてきたということで、冷たいものが欲しくなってきました。
向かったのはニシ浜から近くの「パーラーみんぴか」。波照間島の観光ガイドには必ず紹介されてると言ってもいいくらいの人気店で、かき氷とカレーが有名なお店です。
南国感あふれる開放的な造りになっており(なので雨の日は休業するらしい)、遠目にニシ浜の眩しい青色が見えるのも最高。
ここはやはり波照間島らしいものをということで、黒糖を使った「黒みつスペシャル」かき氷を注文しました。
山盛り!
カレーもものすごく美味そうな香りを漂わせてました。
酔いどめを求めて……
船酔いで完全にやられた友人が、帰りに備えて酔いどめの薬を買っておきたいということで、売店に寄ってみることに。
お店の人に聞いてみると……「さっき売り切れた」と! やはりみんな考えることは同じですね。
次の入荷は午後になるとのことで、まだ望みはありそうです。「今頃は海の上」と言ってました。
そこからしばらく進んで隣の集落にも売店を発見したので入ってみると、やはり売り切れ。
「帰りは追い風だからそんなに揺れないんで大丈夫よー。今の時期は南風が強いから」
さすが島の人は詳しい。親切にいろいろなことを教えてくれます。
でもやっぱり酔いどめがないのは不安なので、夕方また見に来ることにして、ひとまずお土産に黒糖を購入。
静かなる波照間空港
今のところ波照間島へ行く方法は船を利用するしかないと書きましたが、実は波照間島には空港があります。
集落を抜けて、畑に囲まれた道をずーっと島の東の端まで進んだところにある波照間空港。
2008年までは利用されていたそうですが、現在は緊急時の輸送に使われているだけの状態。
それにしては建物が今風で綺麗だな、と思ったら、現在のターミナルビルは2015年に改築されたものだそう。同時に運航路線を再開する計画も進められていたようですが、様々な事情により実現せず現在に至る……という状況のようです。
誰もいない静かな空港は不思議な非日常感。
最近また路線再開に向けての新たな計画が動き出しているとのニュースもありましたし、船で来る大変さを知ってしまうとなおさら、復活に期待したいところですね。
日本最南端
空港から島の南側へと下っていくと、いよいよ日本の最南端エリア「高那崎」です。
まずは星空観測タワーの天文台が見えてきます。島に宿泊した場合は夜にここで南十字星の観測ができるらしい。
天文台を通り過ぎて少し道がカーブしたところに駐車場があり、そこから海のほうへと出ると、まず「波照間之碑」へと続く日本の47都道府県の石を集めて作られた小道があります。
その先に「日本最南端之碑」と「日本最南端平和の碑」が立っています。
周りには何もなく、緑の草原と荒涼とした岩場が広がり、岩場の向こうにはどこまでも広がる海。
日本の端、それは日常の端。生きているうちにここに来られたことに感謝して、景色と空気を味わいます。
穴場ビーチめぐり
波照間島にはニシ浜以外にも美しいビーチがいくつかあります。
島の南側にあるペムチ浜は、まさしく日本最南端のビーチ。行ってみようとしましたが、入り口を間違ったようで、隣の岩場に出てしまいました……。
そこから再び畑の中の道を抜けて島の西側へ。
島の西の端に沿って広がる林の向こうにも素晴らしいビーチが潜んでいます。緑のトンネルをひたすら歩いて行くと……
広々とした白い砂浜と波照間ブルーが目の前に!
ここは「ペー浜」。島の北西に突き出た部分を挟むようにしてニシ浜と繋がっているので、頑張ればニシ浜側から歩いてくることも可能だそうです。
ニシ浜にもまったく負けず劣らずの美しさ……しかもこちらは人が誰もいない貸し切り状態!
ただ座って景色を眺めているだけでも贅沢な時間が過ごせます。
ちなみにニシ浜の「ニシ」は沖縄の言葉で「北」という意味で、ペー浜の「ペー」は「南」を意味します。乗ってきた高速船「ぱいじま2」や新石垣空港の愛称「南ぬ島(ぱいぬしま)」の「ぱい」と同じ語源で、地域によって「はい」になったり「ふぇー」になったり「ぺー」になったりするようですね。
ペー浜の南側一帯には「ハマシタン(浜紫檀)」という植物の木が群生しており、中には樹齢数百年を超える老木もあるそうで、「浜シタン群落」として町の天然記念物に指定されています。
ハマシタンは潮に強くて隆起サンゴ礁の上に根を張って育つらしい。
木々の向こうにはさらに小さなビーチが隠れていたり。
そこから少し離れてまた別の小道へと入っていくと、サンゴのかけらが大量に積み重なった不思議なビーチ「サンゴの浜(ウラピナ)」があります。
ニシ浜もペー浜も、沖縄の白い砂浜はもともとサンゴが細かく砕けて砂になってできたものらしいですが、なぜここだけは砂にならずに固形のままのサンゴがこんなに大量に集まっているのか……まさに大自然の不思議。
ここもやっぱり誰もいない貸切状態でした。
ニシ浜で泳ぐ
島を一周して、ふたたびニシ浜へ。
昼間の第2・3便の船が欠航になったので、島にいる観光客は朝の船で来た人たちが最後で、それ以降は増えていないということになります。天気は最高の海日和なのに、ビーチは空いてて快適。こんなこともあるのですね。
というわけで、令和初泳ぎでした。
かつては浅いところでも美しい珊瑚が見られたそうですが、2016年に起きた海水温の上昇が原因で、現在は多くの珊瑚が白化してしまっています。悲しみ……。回復させることはできるのだろうか……海水温上昇は全世界的に問題になっていますね。
それでも多くの魚たちやウミヘビ(!)などを見ることができました。
沖のほうまで行くとまだまだカラフルな珊瑚も残っていて、ウミガメに遭遇できることも多いようです。
ただし、遊泳可能とは言っても、ニシ浜もいわゆる公営の海水浴場などとは違って、監視員もいなければクラゲネットなどもありません。決して無理はせず、深いところまで行く場合はライフジャケットを着用し、一人では泳がないことです。
ニシ浜には駐車場、トイレ、シャワー室のほか、最近設置されたらしいコインロッカーもあります。売店などはありませんが、坂を上がったところにマリングッズのレンタルショップがあり、ソフトクリームなども売っていました。
お土産に泡波、島バナナ
少し早めにレンタルバイクを返却して、波照間港の旅客ターミナルへ。オリオンビールで一息ついたら、土産物売り場をチェックしましょう。
なんといってもまずは波照間島を象徴する泡盛「泡波」! ミニボトルを買いました。
島バナナも美味しそうで、思わず購入! 緑色の状態で売っていますが、数日おいておくと黄色く甘くなります。
そして黒糖! 黒みつ付きのちんすこうがあったので購入。
日本最南端の証! 普段はこの手の記念グッズ系土産には手を出さないのですが……さすがにここは波照間島なので思わず購入。500円。
「HAPPY HATERUMA ISLAND」Tシャツ! 普段はこの手のアパレル系土産には手を出さないのですが……さすがにここは波照間島なので思わず購入。
いろいろ買ってしまいました。満足満足。
旅のまとめ
帰りの船は、売店の人が言ってたとおりで、来た時に比べると揺れも穏やか。酔い止めの効果もあってか、何事もなく石垣港に戻ってくることができました。
長年の憧れであった波照間島。行くのは大変でしたが、苦労してでも行く価値がある、想像以上の素晴らしい場所でした。
今回は日帰りだったので、ニシ浜をメインにビーチと最南端の碑をめぐり、立ち寄った飲食店は一箇所のみでしたが、島にはまだ他にも歴史的なスポットやお店があり、良さげな宿泊施設もあるので、いつかまた、次は宿泊で訪れたいところです。
波照間島へ行く際の注意点
波照間島に行ってみたくなった皆さまに、実際に行ってみてわかった注意点を最後にまとめておきます。
スケジュールは余裕のある日程で
船が欠航することが多いため、旅行の最終日などに波照間行きの予定を入れるのは少々危険です。
夕方の帰りの飛行機に間に合うように、昼過ぎの船で石垣島に戻ってくれば大丈夫~なんて思ってたら欠航! とか、ありそうなパターン。
天気が良くても波の状態はまた違うので、油断は禁物です。
特に6月~7月、12月~2月は欠航率が高いようですので、その時期に行く場合は要注意。天気予報(これもあまり当てにならないのが難点ですが……)と運行状況をこまめにチェックしつつ、余裕を持った日程で予定を組みましょう。
波照間航路も町長選の争点に | 八重山毎日新聞社
酔い止めは石垣島で買っておく
船旅に慣れていない人は酔い止めを飲んでおくのが安心です。自分も初めて「これが本物の船酔いというやつか……」と実感するレベルでやられました。
季節や風向きによって、行きと帰りでも揺れ方は変わってくるので、行きが平気だった場合でも油断はできません。
いざ現地で酔い止めを買おうと思っても、波照間島には小さな売店が集落内に数店あるだけで、あくまで基本は住人の方たちの生活のためのお店なので、在庫数も決して多くはありません。
できるだけ石垣島にいる時に買って、出発前に飲んでおくようにしましょう。
おわりに
以上、日本最南端の島、波照間島をレンタルバイクで回ってニシ浜で泳いで土産物を買ってきた話と、旅で得た知識と感想あれこれでした。
あらためて写真を見返すと、天気も完璧すぎた……今年の夏の旅行では一番の青空だった気がします(しかし南の島の天気は変わりやすく、夕方には雲が広がって……本当に運次第!)
7月中旬という夏本番真っ盛りなタイミングだったのですが、昼間の船が欠航した結果、観光客も少なくゆっくりと島をめぐりビーチを楽しむことができました。
そういう意味でもやっぱり「波照間島に行けた」ということ自体が貴重な体験。特別な思い出になること間違いなしです。気になった方は是非行ってみてください。
それでは、どちら様も良い旅を。