犬飼久原でバス待ち~大野川と歴史ある橋と町並みを歩く(大分県豊後大野市)

2018.01.19

年末の帰省の途中、大分県豊後大野市の犬飼(いぬかい)に立ち寄りました。昭和の香りただよう風景がなかなかいい雰囲気だったので、写真とレポートを載せておきます。

犬飼は熊本方面から大分県南部(佐伯)へのバス乗り換えスポット

筆者の故郷は大分県南部の佐伯という市ですが、熊本方面から公共交通機関で向かうための最も快適で速い方法は、JR豊肥本線の特急で大分駅まで行き、そこからJR日豊本線に乗り換えて南下するコース。
しかしJR豊肥本線は2016年の熊本地震の影響で阿蘇エリアが止まったままで現在もまだ復旧していません。また日豊本線も2017年の台風で一部区間がやられてしまい、しばらく通れなくなっていました(17年12月18日に復旧)。
そんなわけで今回はバスを利用することに。

熊本から佐伯までの地図
位置関係は大体こんな感じ

バスの場合、わかりやすいのは九州産交バスの「特急やまびこ号」で大分市内中心部まで行き、そこからJRか路線バスに乗り換えるコースですが、より時間短縮できる方法として、大分市に入る手前の犬飼久原(いぬかいくばる)というバス停で佐伯行きのバスに乗り換える手があります。しかしこの犬飼久原というのが、どう見ても周りに何にもなさそうな……山間部の川と道路だけが走っているような場所にあるバス停で。本当にこんなところでバスの乗り換えができるのだろうかと不安になるような雰囲気なので、これまで利用したことはありませんでした。

今回も当初はいつものように一旦大分市中心部まで行ってから帰ろうと思っていたのですが、JRが止まっている関係か、帰省客がバスに集中して出発時点から大変な混み合い……。これは一刻も早く抜け出したい、ということで、初めて犬飼久原での乗り換えを試みることにしたのでした。

犬飼は、かつては「犬飼町」として存在していましたが、2005年に近隣町村と合併して豊後大野市となっています。漫画『デトロイト・メタル・シティ』の主人公の出身地としても知られる、のどかな内陸の町です。

犬飼久原バス停は3つある!?

熊本駅を出発して、約4時間(これも昔はもっと早かったのが、震災以降ルートが変更されてこんなに時間がかかるようになっています)で、犬飼久原バス停に到着。
果たして本当に乗り換えできるのか、本当に周りには何もないのか、確認するために覚悟を決めて降車ボタンを押します。

乗り換えのための待ち時間は1時間半。
バス停に降りて先ずは、乗り換える佐伯方面行きのバス停を確認します。
説明を見ると、どうやら犬飼久原には行き先ごとに3箇所の乗り場がある模様。
佐伯方面行きの乗り場は、今降りたバス停からかなり離れた場所にありました(降りたバス停に案内図があります。写真撮ってくればよかった……)。徒歩で1~2分かかりそうな距離なので、乗り換えは余裕を持って行わないと危険そうです。

道沿いに流れる大きな川は大野川。

バス停があるほうの岸にはコンビニも休憩所も道の駅も何も見当たらないため、橋を渡って川の向こう岸へ行ってみることに。

犬飼橋も3つある!?~犬飼橋・犬飼中橋・犬飼大橋

降りたバス停そばの交差点から、大野川を渡る3本の橋が架かっています。右手に車2台がぎりぎり通れるくらいの古い橋「犬飼橋」、そのすぐ隣を平行に走る歩行者専用の細い橋「犬飼中橋」、そして左手に一番交通量が多くて広い「犬飼大橋」。時代とともに交通量の増加に合わせて増設されていったそうで、一番古い犬飼橋はなんと大正時代(1923年)に架けられたもの。土木遺産にも指定されているそうです。

犬飼大橋から見る犬飼橋と犬飼中橋
これは帰りのバスの中から撮った昼間の様子。犬飼大橋の上からの風景です。

歩行者用の犬飼中橋は、横幅3.6メートルで長さ179メートルの一直線。高さも15メートルほどあり、左右の眼下は大野川の激流(大げさ)なので、高所恐怖症にはそれなりにスリリングな体験でした。

橋を渡ると、左手に川の方へと降りていく坂道があります。
坂道沿いの公衆トイレは昨年の台風で川が氾濫した際に被害を受けて使用禁止になっていました。

犬飼久原の3本の橋
左の水色の部分が見えるのが犬飼橋、その前の赤いのが犬飼中橋、右のオレンジが犬飼大橋

昔ながらの町の風景が広がる

ひとまず坂道を戻り、橋から直進して商店街らしきエリアへと入ってみると、昭和の雰囲気ただよう町並みが。

犬飼の町並み①
壁の文字が良い味
犬飼の町並み②
不思議な懐かしさ

しばらく歩き回ってみますが、やはりコンビニなどはどこにもありません。

犬飼まちなかマップ
犬飼まちなかマップ
どんこのキャラクターが描かれたマンホール
犬飼を代表する川魚「どんこ」のキャラクターが描かれています。
犬飼幼稚園
教会風の建物は幼稚園でした。

年末ということもあり、人通りもほぼ無し。開いているのは野菜と酒などを売っている小さなスーパーのみでした。

大野川の石畳の河川敷を歩く

再び川の方へ、さっきとは別の道から降りていくと、謎の犬の像を発見! 犬飼の名前の由来になった犬らしいです。

犬飼の名の由来になった犬の像
昔の殿様が狩りの途中に病気になった犬をここで療養させたら元気になった…という逸話に因んでいるとのこと。

下まで降りていくと石畳の河川敷が広がっています。
すっかり日が暮れて暗くなり、橋の灯りが川面に反射してなかなかに絵になる風景。

夕暮れ時の犬飼の河川敷
昔は川港として栄えた町だったそうです。

橋の下へ行くと、台風の氾濫のあとがここにも。

犬飼橋の下
洪水で流されてきたであろう木々が柱に引っかかって曲がったまま残っています。

そろそろバスの時間に備えてバス停のほうへと戻りましょう。
再び犬飼中橋を歩いて渡ります。暗くて下がよく見えないのもまた恐怖……。

犬飼久原バス停1番乗り場
車も少なくなりました。

最初に到着したバス停にはベンチが1つありましたが、佐伯方面行きの乗り場には、全く何もありません。
立ち尽くして寒さに震えながら待つのみ。

ようやくバスがやって来て、無事に乗り換え成功! 乗客は自分も含めて2人だけでした。

まとめ

以上、犬飼久原バス停での、熊本発から佐伯行きへの乗り換え体験レポートでした。

乗り換えのポイントをまとめると、降りるバス停から乗り換えるバス停までかなり距離があるので注意! また、待ち時間をつぶせるようなお店や施設は皆無! ただし写真が趣味の人であれば、迫力のある大野川と特徴的な橋、歴史の香り漂う町並みなど、絵になる風景がいろいろ見つけられるかと思います。
夏場であれば川辺で涼むのもいいかもしれませんね。大野川は鮎やどんこ釣りで有名なので、釣り竿があれば釣りも……さすがにバスの乗り換えついでには厳しいですが。

あとは『デトロイト・メタル・シティ』ファンの人なら……聖地巡礼ができます。

時間も料金も大分市を経由するよりは結構お得になるので、乗り換えがスムーズに繋げられる場合は使う価値がありそうです。

熊本から大分県南部〜宮崎方面へ行く機会がある人は参考にしてみてくださいませ。

読み始めました。渋谷系世代なのでいろいろわかりすぎて面白い。大分県民にしかわからないネタも。

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2018/01/08 (更新:2018/01/19)

書いた人:

一人旅ときどきギターと太鼓。年々増していく時の流れの速さと記憶力の低下に危機を感じ、いろいろなことを記録しておくために書き始めました。元CDショップ店員。現在はIT系のエンジニア。寒さに弱すぎるため旅行先は基本的に南の島です。釣りたい魚はアカジンミーバイ。

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