湯の児温泉と島と青い海~肥薩おれんじ鉄道の旅【熊本県水俣市】
2018.03.22
湯の児温泉(ゆのこおんせん)は熊本県水俣市にある美しい海辺の温泉です。
偶然ネットをさまよい中に写真を見かけて、あまりにも良さそうだったので先月行ってきました。
海沿いの通りが温泉街になっており、すぐ近くには白い砂浜の海水浴場、さらにそこから橋で渡れる小さな島があってそこは公園になっているという、好きな要素が集まりすぎているエリアです。
熊本市内から湯の児温泉へ公共交通機関で行くには、JRで八代まで行ってそこから肥薩おれんじ鉄道というローカル線に乗り換える必要があります。地図で路線図を見ると、完全に海沿いを走る鉄道で、景色にも期待して向かいました。
八代駅から肥薩おれんじ鉄道で出発
八代駅に来たのももう10年以上ぶり。のどかで静か。
JR八代駅を出て左手に進むとすぐに肥薩おれんじ鉄道の駅があります。まさにローカル鉄道という感じのコンパクトさ。
SuicaなどのICカードは使えないとのことで、窓口で乗車券を購入。湯の児温泉の最寄り駅である津奈木駅まで往復と告げたところ、それなら1日乗り放題の「わくわく切符」のほうが安いとのことで2,000円で購入(土日祝日限定のようです)。
一両編成の小さな電車で出発です。
二駅目の日奈久温泉駅を通過したあたりから右手に海が広がります。
海沿いを走る鉄道といえば山口県の岩国あたりも最高(窓のすぐ下が砂浜と海!)でしたが、こちらも負けず劣らずの青い眩しさ。しばらくこんな風景が続きます。
海水浴場として有名な芦北町の御立岬を過ぎると海は消えてのどかな田舎の風景に。そこから20分ほどで目的地の津奈木駅に到着です。
津奈木駅から湯の児温泉までは、地図で見たところ4〜5kmくらいだったので、歩ける距離だなと思って徒歩で向かったのですが……これが想像していた「のどかな海沿いの田舎道」とは大違いの過酷な山道だったので、正直おすすめしません。次の水俣駅まで行ってそこからバスが出てるのでそれを利用するのがよいでしょう。
長く曲がりくねった山道がようやく下りになったところで、右手に小さな階段状の道を発見! 海のほうへと降りているということは、これはもしや近道では?
信じて下っていくと……目の前に砂浜と白い吊り橋が登場! ネットの写真で見たとおりの風景がありました。無事に湯の児海水浴場に到着です。
湯の児海水浴場~白い砂浜と吊り橋が美しい穏やかなビーチ
湯の児海水浴場は砂浜を挟んで左右に海がある独特の地形。砂浜はそのまま正面の島(湯の児島)へと続いており、干潮時は歩いて島へと渡ることができます。しかしせっかくなので、左手の海の上にかかる「観月橋」を渡って行きましょう。
湯の児島公園~ウミガメと島散歩
湯の児島は三つの島で構成されています。ビーチに近いほうから一の島、二の島、三の島。最も大きな一の島でも一周500mくらいで、島の西側(温泉街がある方向)が綺麗な遊歩道になっています。
湯の児はウミガメにまつわる言い伝えが多く、島のあちこちにウミガメの像が置かれています。タートルタートル。
次の二の島へは、コンクリートの堤防で繋がっています。
二の島はとても小さくて1、2分で一周してしまいますが、海に囲まれて景色は最高。そこから少し離れたところにある三の島は、橋も繋がっておらず整備もされていない見るだけの島ですが、二の島から眺めるその姿がそれはそれは美しいのです。
再び一の島まで戻り、遊歩道の端にある階段を登って行くと芝生が広がる湯の児島公園があります。
島散歩を楽しんだら、いよいよ温泉街のほうへと向かいましょう。
湯の児温泉~海辺の静かな温泉街
温泉街の前の海側も綺麗に整備されています。とても静かで散歩に最適。釣りをしている人もいました。
温泉街に入ると一気にレトロな雰囲気が漂います。
展望露天風呂があるという新しくて綺麗なホテル「海と夕やけ」か、昔ながらの旅館の雰囲気が残る「平野屋」か……? どこにしようか迷いましたが、一番入りやすそうだった「白梅湯裸楽(ゆらら)」で温泉に入ることに。
湯の児温泉の湯はぬるめの弱アルカリ性。美肌に良いとのことです。
露天風呂から海は見えませんが、見上げるとヤシの木があってトロピカルでした。
ゆっくりしたところで軽く食事でも、と思いましたが、この辺ちょっとしたカフェとかレストランみたいな店は全くありません(海水浴場に海の家的な食堂テラスのようなものがありましたが当然今の時期は無人…)。
時刻も気づけばもう夕方で、帰りも徒歩(バスの時間が終了してました……)なので、あまり遅くまではいられません。仕方ないので小さな商店でビールを買って、海辺で飲んでから帰路へ。来た時とは反対方向の、水俣駅を目指して歩きます。
そしてこの帰り道がまた……結局山に突入! 山というか、いわゆる「峠を攻める」感じのうねる車道でいよいよ辛かった……正直徒歩は危険です(景色だけは良い)。詳しくは別記事に書きましたので、あわせてご覧くださいませ。
すっかり暗くなって水俣駅に無事到着。もう少し早ければ帰りのおれんじ鉄道では夕日も楽しめたかもしれませんね。
旅のまとめ
以上、湯の児島と湯の児温泉のレポートでした。
とにかく海が綺麗で、静かで落ち着く温泉街。本当に良いところでした。また行こう。
公共交通機関で行く場合の要注意ポイントとしては、駅から無理して歩かないこと(運動にはなる……)と、時間にはかなり余裕を持っておくこと。
水俣駅〜湯の児間を走る「みなくるバス(湯の児線)」は土日祝日は1日3便で、湯の児からの帰りの最終が16時30分です(平日は17時20分まである模様)。料金は一律150円。
JRで熊本駅から八代駅までが約40分。肥薩おれんじ鉄道で八代駅から水俣駅までが約1時間です。
時間を短縮したい場合は、九州新幹線で熊本駅から新水俣駅まで行って(約30分)、そこからおれんじ鉄道に乗り換えるか、バスを乗り継いで行くことも可能です(ただし新幹線の車窓からは海は見えません)。
車の場合は温泉街の各所に駐車場があるので安心です。
周辺にコンビニなどは全くありません。日常を忘れて宿泊でゆっくり過ごすのが良いでしょう。
近くには桜並木が有名な道があり、花見シーズンも湯の児一帯が賑わうとのこと。毎年9月には花火大会も行われているそうです。
というわけで、来てみて! みなまた。