安く旅行ができる時代に~一人旅のススメと思い出話

旅行が趣味のひとつになり、暇さえあれば考えることといえば「次はいつどこへ行こう?」――。
寒さに弱いため、最近は沖縄方面ばかり行ってますが、基本的に観光やリゾートよりも「まだ行ったことがない場所に行きたい」という気持ちで行き先を選ぶので、いつかは北海道なども訪れたいところです。


LCCの恵み

旅行はそれなりにお金がかかる趣味なので、学生の頃はなかなか手を出せませんでした。

働きだしてからも、CDショップからのローカルITベンチャーなので正直全く余裕があるとは言えません。しかし最近になって、趣味と呼べるくらいに年に何度も旅行に行けるようになったのはなぜか?

旅費が安くなったからです。

LCCや早割のおかげで手軽にいろんな場所に行けるようになりました。安く泊まれる宿も増えました。

最初は旅行というより、ライブやイベントを見に行くためにLCCを利用していました。
LCCで成田や関空へ行き、東京や大阪でライブを見て、ネカフェや空港で夜を明かし、早朝の飛行機で熊本に帰る。そんな使い方。

peachに搭乗~那覇空港にて(2016年撮影)
那覇空港(2016年撮影)

転機になったのは2014年のpeachの福岡-那覇線の就航でしょうか。

「LCCで沖縄に行ける!」

そこから次第に純粋な「旅行」を目的としてLCCを使うようになり、やがて「いかにしてより効率良く行くか」を考えることも楽しみになり(たとえば台湾へ行くのに直行するのではなく一度LCCで那覇を経由すると、安い上に沖縄での時間も楽しめるとか、最安の深夜・早朝便と仕事のスケジュールをどう組み合わせるかとか)、旅行が趣味に変わっていったのでした。

若いうちに……の難しさ

最近よく沖縄関係の旅行記を読むのですが、昔から何度も沖縄に通っているような人は、急激に開発と観光地化が進み、海外からの旅行者も押し寄せるようになった今では失われてしまった風景も見てきて、知っている。そういうものを読むたびに、自分ももっと若い時に沖縄へ行っておけばよかったと、考えたりもします。

時間はあったのに、どうして思いつかなかったのだろう?

特に離島めぐりなんて、時間と体力がある時じゃないとなかなかできないのに。

単に情報がなかったのか、やはりお金がかかるイメージが大きかったのか……実際は単に、当時はきっと別の何かに夢中で、そっちを優先していたということなのでしょう。

CDショップを辞めたあと、数ヶ月無職の夏休み期間があったのですが、振り返ると原付で天草や三角(熊本市内から原付だと2時間くらい)に行ったりしたくらい。今考えるともっと有効活用できた気がします。

旅の魅力に気づくまでには、やはりそれなりの時間と体験の積み重ねが必要で。若いうちにそこに気づけたならば、それはきっと幸運なのです。

旅に出る理由はどのように生まれるか?

大阪南港(2015年撮影)
大阪南港にて(2015年撮影)

先日、うちの会社の後輩男性社員(30代前半)が出張のために、人生で初めて新幹線に乗って人生で初めて大阪に行った、という話を聞いて「まじか」と驚いたのですが、意外とそういう人も多いのかもしれません。何かのきっかけがないと、どこか遠くに出かけるという選択肢はなかなか生まれないものなのでしょう。

思えば自分も数年前まで、東京や大阪のみならず、その他の地方にもたびたび出かけたりしていましたが、それは前述したとおり基本的にライブやイベントなど、メインとなる別の目的があって向かっていたのでした。旅行というより、いわゆる「遠征」。ついでに観光名所をめぐったりすることもありましたが、あくまでそれはおまけで。

なので移動も節約のために青春18きっぷや夜行バスを使い、宿泊も大抵はネットカフェ。

しかしその時の経験があったからこそ、旅の楽しさを知ることができて、今に繋がっているのかもしれません。

特にご当地アイドルのシーンが面白かった頃は、いろんな地方にいろんなグループのライブを観に行ったものでした。九州各地のほか、下関、防府、周南、広島、安芸高田、岡山、津山、美作、米子、神戸、大須、平塚、ジャカルタ、etc…アイドルがいなかったら絶対に訪れることはなかったであろう地域もあり、本当に貴重な思い出。いつか記憶と写真の数々を記事にまとめたい。

一人旅の発見

伊良部島(2018年撮影)
伊良部島にて(2018年撮影)

海で遊んだり食べ歩きなどがメインの旅なら二人以上が楽しいですが、その土地のことをより深く知りたいと思うならば、間違いなく一人旅がベストです。

なぜなら、どこへ行って何をするか、すべて自分一人で決めなくてはならないので、情報収集が何より重要。見つけて調べて学んで実践する、という流れの繰り返しだからです。

現地でも特定の話し相手がいないので、一対一でその土地の風景や人と向き合うことになります。また、一人で行動しているときは自然と道に迷ったりしないように意識が働くのか、方向感覚や記憶力・観察力も普段より研ぎ澄まされるような気がします。

結果的にその土地について詳しくなっていき、そこでの体験は鮮烈に心に残ることになります。

一番最初に一人で旅行する楽しさを知ったのはいつだったでしょうか。

広島県尾道市(2013年撮影)
広島県尾道市にて(2013年撮影)

2004年、ジョアン・ジルベルトの来日公演を、大阪まで観に行ったことがありました。

ジョアン・ジルベルトはボサノヴァの創始者といわれるブラジルの偉大な音楽家です。

その時に休みを1日多く取って、大阪で公演を観た次の日に、一人で京都に向かったのです。

京都は中学校の修学旅行で一度来たことがあり、その時に回ったコースをそのまま再現しようということで、銀閣寺から清水寺までを歩いてめぐりました。

ホテルは予約しておらず、当時はスマホなどなかったので本屋で「まっぷる」か何かを買って調べて電話して。京都御所のすぐ近くのホテルに泊まったのを覚えています。周りに全然店がなくて(というか閉まるのがとにかく早い)、せっかくの京都なのに夕食はガストでカレー。

写真は「写ルンです」を買って撮って回りましたが、結局現像した記憶がありません。どこへ行ったのだろう?

ジョアンの来日公演が素晴らしかったことも重なり、初めて「一人旅をした!」という達成感もあり、特別な思い出になっています。

兵庫県上月駅にて(2014年撮影)
兵庫県上月駅にて(2014年撮影)

その少し前に、ケヴィン・エアーズの来日公演を一人で岡山に観に行ったこともありました。

ケヴィン・エアーズは1960年代から活動していた英国のシンガーソングライター。

その時は普通電車乗り継ぎで9時間かけて熊本から岡山まで行き、ライブの後はガスト(またガストか!)で夜を明かして朝から再び普通電車で帰る、という、それこそまさに人生初の「遠征」。旅行感はゼロでしたが、現地で出会った一回り以上年上の昔からのケヴィン・ファンの方たちと意気投合して遅くまで語り合った思い出は、一人旅の楽しさに目覚めるきっかけの一つであったかもしれません。

さらにさかのぼると、大学受験がありました。高3で現役の時はセンター試験も本番も同級生たちと一緒でしたが、自分は1年浪人したため、その時は一人で電車に乗って、大分の実家から福岡まで受験しに行ったのです。

前にも書きましたが、うちの実家はかなり厳しく監視社会的であったので(おかげで非行に走ることもなく感謝していますが)、とにかく早く家を出たかったこともあり、初めて一人で県外に行ってホテルに泊まるという体験はそれだけで高まるものがありました。

とは言ってもその時は電車のチケットもホテルの予約も親が手配してくれたもので、一人旅とはとても言い難く。やはり自分で行き先を決めて、ホテルを取って泊まった京都での経験が、自分にとって最初の一人旅。

ただ、昔から単独行動が好きな理由は、育ちのせいもあるのだろうなという気はしています。だから一人旅が心地よく、また子供の頃にあまり冒険をしてこなかったので、それを取り戻すために、色々な行ったことのない場所へ行きたいという気持ちが強くなったのかもしれません。

もっと身軽に旅する時代

山口県周南市(2012年撮影)
山口県周南市(2012年撮影)

そんなこんなわけで、思いつくままに書いていたらまとまりもなく長くなってしまいました。

「もっと若いうちに旅をしておけばよかった」とは、一定以上の年齢になってから旅行の楽しさを知った人の誰もが思うことである気もします。

「旅行はお金がかかるので余裕がある大人の趣味」
「若者が安く旅に出るならフェリーや鈍行列車や自転車で地道に……」

かつてはそんな時代だったのでしょうし、だからこそ若い時の旅には特別の価値があり、我々はそこに憧れたわけですが。

しかし今は、LCCや早割があります。工夫すれば手軽に安く旅行に行ける時代になりました。

スマートフォンのおかげで持ち物も昔にくらべて圧倒的に少なくて済むようになりました。かつてはガイドブックも地図も時刻表も音楽プレイヤーも移動中に読む本もカメラも手帳も筆記用具も……全部個別に持っていかねばならなかったのに!

宮古島にて(2018年撮影)
宮古島にて(2018年撮影)

旅が手軽なものになり、静かだった田舎や島にご近所感覚で押し寄せてウェイウェイする人が増えるのはあまり歓迎できませんが、たとえばなんとなく日常に疲れてるとか、仕事辞めたいとか、気分を変えたいと思っている人がいるならば、ふらっとどこか一人で旅に出てみるといいかもしれませんね。重い荷物を背負ってはるばる自転車を漕いだり、フェリーや18きっぷで何時間〜何日もかけたりしなくても、数千円〜2万円程度で沖縄の離島や北海道に行ける時代になっています。

それが単純に羨ましくもあり。自分が今20歳くらいで、その時に今くらいLCCが普及していたならどんな人生になっていただろうかと。こうなったら今から取り戻すか! と。なので若い人も若くない人も、どんどん活用すればいいと思います。楽しい時代です。

最近読んだ「変わりゆく沖縄の変わらないもの」についての本と、30過ぎて初めて新幹線に乗ったという後輩の話から、だらだらとそんなことを考えた夜でした。

saravah!

変わってしまった沖縄に「変わらないもの」を見つけにいく旅。どうしても「あの頃はよかった」的な空気が漂ってしまうテーマですが、それでもやっぱり沖縄はいいなと思わせてくれる内容。面白いです。同著者の「沖縄の島へ全部行ってみたサー」もおすすめ。

TravelDaily Life

2018/11/15

書いた人:

一人旅ときどきギターと太鼓。年々増していく時の流れの速さと記憶力の低下に危機を感じ、いろいろなことを記録しておくために書き始めました。元CDショップ店員。現在はIT系のエンジニア。寒さに弱すぎるため旅行先は基本的に南の島です。釣りたい魚はアカジンミーバイ。

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