つりビット「不思議な旅はつづくのさ」の素晴らしさ
つりビットのニューシングル「不思議な旅はつづくのさ」が3月7日にリリースされました。
AppleMusicでは、つりビットの作品は発売日の0時になると同時に配信がスタートされます。日本にはCDショップのフラゲ日という仕組みがあり、またMVなども発売前に公開されることが一般的です。そのため、発売日が来たからと言って「待ちに待ったこの日! ついに聴ける!」的な特別感はあまりありませんが、ストリーミング時代になり、日付が変わった瞬間にライブラリにジャケットが並んで聴けるようになるのはリアルタイム感があって楽しいものです。もっと広がってほしいこの流れ。
話を戻してつりビットです。
最近はアイドル現場に行くこともほとんどなくなってしまいましたが、現時点で一番好きでよく聴いている日本のアイドルグループといえば、それはおそらくつりビットです。
つりビットの楽曲の良さについて
何が良いかと言えば曲が良い……というのは人それぞれ「良い」の基準が異なるので言い方を変えるならば、ジャンルや音のインパクトに頼らず純粋にポップソングとして洗練されており、それでいてしっかりこのグループでしかできない曲になっているところが良い、みたいな感じです。
特定のジャンルや音楽性がコンセプトになっているアイドルグループも世の中には多いですが、個人的にはアイドルには「アイドルでしかできない曲」をやってほしいというところがあります。「アイドルがこんな音楽をやってる」的な面白さのものも確かにあり、中には好きなグループもいますが、正直もう出尽くしたというか、今やもう運営・制作側のネタ勝負みたいになってしまいがちなので、それはもう別にアイドルじゃなくていいやという気分になったりもして。
つりビットの曲はそれはそれはストレートにわかりやすくキャッチーで可愛くて元気で時々面白くて時々泣ける……そんな曲ばかり。それは特定のジャンル名では説明できない、アイドルポップスとしか言いようのないものです。しかもそこには、古き良き時代の様々な音楽要素が盛り込まれており、流行りに左右されないエバーグリーンなサウンドになっています。
グループならではの個性
楽曲そのもののクオリティーの高さが魅力である場合、問われるのはグループ独自の個性です。
曲があまりにも素晴らしいと、どのグループが歌っても素晴らしい、ということは大いにありえます。それは素晴らしいことです。ただ、アイドルに関してはそれではちょっと夢がないというか、個人的にはやはり「このグループが歌うからこそ最高に素晴らしい」というものが聴きたいのです。
つりビットはその名の通り「釣りをするアイドル」という謎のコンセプトのもとに活動しています。
正直最初はなんだそれはと笑ったものですが、メンバーたちは実際によく釣りに出かけているようです。
そんなつりビットの珠玉の楽曲群には、これでもかという勢いで釣りに関するワードが散りばめられています。いわゆるグループ紹介ソングやそのものズバリの釣りソングに限りません。ありとあらゆる曲に「魚」「フィッシュ」「海」「大漁」「船」「ギョ」「寿司」……などが仕込まれています。
それにより、洗練の極みをいく王道ポップスの名曲でありながら、どれもこれもつりビットにしか歌えないものになっているのです。これぞトータルアート。これぞアイドルプロデュースです。
メンバーそれぞれの魅力
それだけではありません。
つりビットは2013年のデビュー以来5年間、一度もメンバーチェンジがありません。
今や5人のメンバーそれぞれのボーカルの個性も表に出てきて、それもグループの大きな魅力となっています。
アイドルソングにおいて「声」はものすごく重要です。この5人の歌声こそがつりビット、という世界が確立されていることは圧倒的な強みです。
そしてもちろん、アイドルとして重要なビジュアルの可愛さも完璧です。
不思議な旅はつづくのさ
そんな素晴らしいつりビットですが、前作「1010~とと~」から、デビュー時よりプロデュースと作詞を手がけていたトベタ・バジュン氏の手を離れ、新たな展開を見せ始めています。正直どうなることかという不安もありましたが、「1010~とと~」は門出感あふれる力強くも感動的な曲で、新たな表情と同時に、メンバーとグループが作り上げてきたつりビットの揺るがない個性にあらためて気付かされ一安心。
そして今回の「不思議な旅はつづくのさ」です。
今回はTBSアニメ『ミイラの飼い方』のオープニングテーマということで、さすがに「釣り」や「魚」は出てきませんが、キーワードは「旅」。前作「1010~とと~」の歌い出しにも「旅」という言葉が含まれていました。新しい海へと泳ぎだした魚たちの旅はつづく。まぎれもなくこれはつりビットの物語です。
生っぽいバンドサウンドをベースに、ストリングスとハープシコードとマリンバが加えるファンタジー風味。そしてさりげなくコンガが暖かい南の海の空気を漂わせます。聴いてすぐに今年の自分内アイドル楽曲大賞上位入りが確定した、新たな代表曲と呼ぶべき名曲。配信で聴いてもやっぱり素晴らしいです。
作詞・作曲はこれまでに「My Victory」の作曲や前作のカップリング2曲の作詞を手がけていた久下真音(くしたまいん)。ちなみにあの欅坂46「サイレントマジョリティー」の編曲も手がけている方です。
それにしても良いタイトル。アメイジング・ジャーニーですからね。ザ・フーです。トミーです。今時こんなにギターソロが長いところも◎。
初回盤カップリングの「ハピハピフィッシングデート」は久々の直球釣りソング。ハープシコードとコンガによるイントロがタイトル曲の雰囲気をそのまま引き継いで、カリプソ~ソカ風の疾走するサビへと展開します。つりビット以外の何者でもない世界です。
通常盤カップリングの「Piece of Cake」は90年代J-POP風のファンキー・アーバン・ポップ。SMAP感ある仕上がりで完全に最高です。
そんなわけで、こんなに長々と書くつもりはなかったのですが、つりビットは素晴らしい、という話でした。
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— 藤水 咲桜 (@fujimizu_sakura) February 28, 2018