AppleMusicにおける昔の作品の謎コンピ&謎ジャケット問題

よく意味のわからないタイトルになってしまいましたが……要はAppleMusicで1960年代以前くらいのアーティストの作品を検索すると山のように出てくる、いかにも廉価盤っぽい謎のジャケットに謎の選曲で収録された謎コンピレーションの数々についての話です。わかる人にはわかる悩みだと思います。

実例で見てみましょう。

謎のアルバム

ブラジルのボサノヴァの創始者と言われる偉大なジョアン・ジルベルトの作品が聴きたいと思って、AppleMusicで「ジョアン・ジルベルト」と検索したとします。

ジョアン・ジルベルトはブラジル本国での単独名義でのオリジナルアルバム(共演盤・ライブ盤などを除く)は今までに8枚ほどしか出していないのですが、検索結果はこのとおり。

AppleMusicにあるジョアン・ジルベルトのアルバム
※AppleMusicのキャプチャ画像より作成(実際にはさらにこの3倍くらいあります)

もうなんじゃこりゃという感じの謎の作品が200タイトルくらい出てくるわけです。

これからジョアン聴いてみようという初心者リスナーが果たしてこの中からオリジナルアルバムを探し出せるでしょうか?

ちなみに上記画像の中にオリジナルアルバムは1枚もありません。

せっかくストリーミングによって過去の名盤に手軽にアクセスできる環境が整ってきたというのに、これはちょっとどうかと思います。

所有するわけではないので曲が聴ければ別に問題ないという人もいるかもしれませんが、この状態だとどのアルバムにどの曲が入っているかもわかりません。ネットで調べても選曲の基準や収録内容の細かいデータが出てくることはまずありません。

アルバムは単なる曲の寄せ集めではなくて、同じ時期に作られた曲に共通する音とか空気とか、曲順によって生まれるものとか、全体を通してのコンセプトとか、アルバム単位で聴くべき価値も多々あります。

聴くならちゃんとオリジナルアルバムの形で聴いて欲しいし、そのアーティストが気に入ったなら、製作年や発売順なども踏まえた上でいろんな作品を聴いていって欲しいと思うのです。

権利関係の問題?

どうしてこういう問題が起きるのかというと、おそらく著作権や原盤権の関係でしょう。
それらの権利は国や時代によっても基準(保護期間など)が異なってそう(?)ですし、一部の音源に関してオリジナルに関係なくやりたい放題になっている状況があるのだと思います。

なので、このような謎コンピ問題が起きているのは基本的に1960年代以前の古い作品ばかりなんですね。

中でもブラジルものやフランスもの、そしてジャズなどで特に多い印象です。

「アントニオ・カルロス・ジョビン」「フランソワーズ・アルディ」「アート・ペッパー」あたりで検索してみてください。

Spotifyでも同じような謎コンピは出てくるのですが、AppleMusicに比べると数が全然少ないです。これも謎ですが、国ごとでのサービスがスタートした時期とかも関係しているかもしれません。

そういう意味ではSpotifyのほうが過去の名盤をチェックするには適しているかも……ただSpotifyは未だ日本語検索の精度が低いんですよね。AppleMusicだと「フランソワーズ」とカタカナで入れても一発で「Françoise Hardy」にたどり着けますが、Spotifyだとアルファベットで入れないと出てきません。「アートペッパー」も同様。

こうした謎コンピも、ずっと配信されているということは、権利上は問題ないものなのかもしれません。しかしユーザビリティ的には最悪なので、AppleMusic側で何か対策してくれるといいんですけどね……。

最近AppleMusicのアーティストページの作品が「アルバム」「シングル&EP」「ライブアルバム」「ベストアルバム、その他」「参加作品」という風に分類されるようになりましたが、そこに「謎コンピ」の枠も追加していただきたい……。

とは言っても、その分類自体が現状はあまりまともに機能しているとは言い難い状態なので、まだまだ道は長そうです。

謎コンピ問題以外にも、リリース年の表記がオリジナル発売年になっているものと、CD化されて再発された年になっているものとが混在しているという問題もありますね。

結局、初心者が歴史なども踏まえて過去の名盤をしっかり聴いていこうと思ったら、別途ガイドブックなり誰かの解説なりを参照する手間が必要になってしまうわけです。まあそれはそれで楽しみの一つにもなり得るのでしょうけど。

ライブラリ管理の面でも単純に不便なので、なんとかして改善していってほしいところです。

CD時代にもあった? 謎コンピ

思えば私が学生の頃は、デパートの書籍コーナーやレンタル屋さんのレジ横などに、1,000円くらいのオールディーズの輸入廉価盤CDがよく売られていました。

いかにも適当なデザインでペラペラの紙一枚のジャケットに、「The Best Of ~」みたいな定形タイトルで。今考えるとあれもまさに謎コンピです。

しかしながら、市内にCDショップは個人経営の小さな店が2つしかなかった田舎のオールディーズヲタクの高校生にとっては、そんな謎コンピであっても「1,000円でジャン&ディーンやスモール・フェイセズやフランス・ギャルの音源が聴ける!」というのはたいへんに貴重で、自分もたまに買ったりしていたのでした。

そういう意味では、謎コンピにも多少は初心者入門用としての価値があるのかも……と一瞬思いそうになりますが、今は同じサービス内でオリジナル・アルバムも普通に配信されているのですから、そんな状況であえて謎コンピを選ぶ理由は……やっぱりないな。

というわけで、AppleMusicがもっとわかりやすく、使いやすくなりますように。

Music特集・まとめ

2019/01/26

書いた人:

旅と音楽。最近の時の流れの速さと記憶力の低下に危機を感じ、いろいろなことを記録しておくために書き始めました。元CD屋。ブラジル他ワールド音楽とジャズとKPOPを中心に何でも聴きます。普段はHTMLやCSSやSEOなどの人。時々ギターと太鼓。寒さに弱すぎるため旅先は基本的に南。釣りたい魚はグルクンです。

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