Camille『OUÏ』~静かに躍動する「カミーユ、声と太鼓」

2018.02.10

フランスのシンガーソングライター Camille(カミーユ)の6月にリリースされた最新アルバム『OUÏ』が、AppleMusicでようやく配信スタートしたので聴いています。待っていた!

……と思ったら、今回配信されているのは、11月24日にリリースされた『OUÏ』のコレクター・エディションに収録された、アルバムを声と太鼓のみで再録音した新バージョンのよう(なぜオリジナルバージョンが配信されないのかは謎)。ジャケットの色もオリジナル版より明るくなっています。

そんなわけで、AppleMusic上では収録曲タイトルのすべてにカッコで(Tambour/voix)と記されています。日本語で(太鼓/声)。

とは言え、もともとのオリジナル版も声と太鼓が中心で、電子楽器が使われているかどうかの違いなので、基本的なアレンジはほぼ同じ。ある意味より研ぎ澄まされた、エッセンシャルな新バージョンであると言えるでしょう。個人的には大歓迎です。もはや新バージョンのみでいい感じ。

シンプルに淡々とリズムを叩いていく太鼓。

メロディも素朴で美しいフレーズの繰り返しが多く、どこか民謡のようでもあります。

そこにおそるべき表現力、変幻自在のカミーユの歌声(8曲目「Twix」を聴いて)。

ミニマルで静かで、しかし、躍動する世界です。

これまでにもカミーユは、全曲が一つの音で繋がったアルバムや、声とボディパーカッションの多重録音による作品など、実験的でありながらポップな作品を発表していますが、6年ぶりの新作となった今作も相変わらずのセンスで素晴らしい内容でした。

そして、これまでで最も静かで美しいアルバムとなったこの「声と太鼓」バージョンの『OUÏ』。個人的には一番好きです。

1曲目の「2012」はオリジナル版には未収録で、コレクター・エディションにて追加収録された未発表曲とのこと。

筆者は、複雑に練りこまれたカラフルな音楽作品も好きなのですが、最終的にはミニマルに絞り込まれた音のみによる静かな作品こそが最高と思っているタイプなので、そんな意味でも今作は最高に最高です。

「静寂より素晴らしいのはジョアンだけ」という格言(カエターノ・ヴェローゾ)がありますが、ミニマルで静かな名盤といえばそのジョアン・ジルベルトの『3月の水』。カエターノ・ヴェローゾでは『ジョイア』というアルバム。気になったら聴いてみてください。

Camilleとは

カミーユことCamille Dalmais(カミーユ・ダルメ)は、1978年生まれのフランスの女性シンガーソングライター。
2002年にアルバム『Le Sac des filles』でデビューしました。ファーストはちょっと尖ったおしゃれな新世代シャンソンポップみたいなイメージで日本でも国内盤リリースされたりしましたが、実際はちょっとどころじゃない先鋭派。2005年のセカンド『Le fil』が全編ほぼセルフ多重録音アカペラコーラス+ベースという編成で、全曲が共通の通奏低音で繋がっているという衝撃作。そしてそれがしっかりヒットするのがフランス。一躍人気アーティストとなり、以降2008年に『Music Hole』、2011年に『Ilo Veyou』というアルバムを発表しています(その他ライブアルバムが2作あり)。
『OUÏ』は6年ぶりとなる通算5作目。フランスでは販売チャート1位を記録しています。

参考:Camille (chanteuse) — Wikipédia

Musicレビュー

2017/11/26 (更新:2018/02/10)

書いた人:

旅と音楽。最近の時の流れの速さと記憶力の低下に危機を感じ、いろいろなことを記録しておくために書き始めました。元CD屋。ブラジル他ワールド音楽とジャズとKPOPを中心に何でも聴きます。普段はHTMLやCSSやSEOなどの人。時々ギターと太鼓。寒さに弱すぎるため旅先は基本的に南。釣りたい魚はグルクンです。

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