ビートルズの名盤『Sgt.Pepper’s~』をブラジルのカーニバルサウンドでカバーしたアルバムが最高に楽しい

2018.02.21

image via Amazon.co.jp

Spotifyのブラジルバイラルチャート(SNSでのヒットを集計したランキング)で気になった作品。聴いてみたら最高に楽しいアルバムだったのでご紹介します。

Bloco do Sargento Pimenta(ブロコ・ド・サルジェント・ピメンタ)というグループ名で、アルバム・タイトルは『Sgt.Pepper’s Lonely Hearts Club Band(サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド)』……そう、あのビートルズの1967年の名盤と同じで、ジャケットも明らかなパロディ。

ということで内容は『サージェント・ペパーズ~』をアルバム全曲まるごとカバーした作品です。

グループ名のBloco(ブロコ)というのは、簡単に言うと小規模のカーニバル楽団のこと。英語だと「ブロック」で、地域の「区画」みたいな意味に由来する呼び方のようです。

そしてSargento Pimenta(サルジェント・ピメンタ)は、言葉の響きからもなんとなく想像がつきますが、Sergent Pepper(サージェント・ペパー=胡椒軍曹)をそのままポルトガル語にしたものです。

すなわち完全にビートルズをオマージュしたカーニバル楽団で、調べたところ2013年頃から活動している模様。拠点はリオデジャネイロ。
リオでカーニバルといえば当然サンバを想像しますが、実際聴いてみるとサンバ以外にも様々なブラジル各地の音楽を取り入れたサウンドでビートルズ楽曲をアレンジしています。

1曲目のタイトル曲からいきなりナサォン・ズンビ的なマンギビート~マラカトゥ風味。迫力のある太鼓とチャカチャカした金属打楽器にロックギター。
続く「With A Little Help From My Friend」は、シャッフル調で始まったかと思えば途中からフレーヴォ的な高速ビートに展開します。

マラカトゥもフレーヴォもブラジル北東部の伝統音楽で、リズムに特徴があります。

「Lucy in the Sky~」や「She’s Leaving Home」はどことなくバイーア~アフロ的なスピリチュアルさを感じさせるアレンジ。「Getting Better」や「Mr.Kite」にはファンキ的なリズムが取り入れられています。
「Fixing a Hole」はマルシャ(簡単に言うとブラジル版の「マーチ」=行進曲風のリズム)。
「Lovely Rita」や「A Day in the Life」はサンバヘギ(簡単に言うとレゲエがブラジルで独自進化して打楽器メインになったようなスタイル)のよう。

こうしてみるといかにもサンバらしいのは「Sgt.Pepper’s~(Reprise)」くらいかも。

曲のメロディーや展開は基本的に原曲に忠実で、サウンドやリズムのみを大きくアレンジしている感じなので、ビートルズ楽曲のポップな素晴らしさはそのままに、ブラジルの様々な音楽のスタイルが楽しめる仕上がりになっています。

アルバムは昨年の12月にリリースされており、今年のカーニバルシーズン(2月)に入って注目されてバイラルチャートに上がってきたようですね。

Facebookの360度映像の埋め込みがsafari未対応のようなので観れない場合はこちらから→https://www.facebook.com/riodejaneiro/

『サージェント・ペパーズ』以外にも様々なビートルズの曲をやっているようなので、今後の作品にも期待したいところです。

Musicレビュー

2018/02/17 (更新:2018/02/21)

書いた人:

一人旅ときどきギターと太鼓。年々増していく時の流れの速さと記憶力の低下に危機を感じ、いろいろなことを記録しておくために書き始めました。元CDショップ店員。現在はIT系のエンジニア。寒さに弱すぎるため旅行先は基本的に南の島です。釣りたい魚はアカジンミーバイ。

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